100円ショップの印鑑売り場を、3社の公式通販で引き直しました。結果は共通していて、ダイソー88件・キャンドゥ8件・ワッツ78件のいずれにも、苗字が彫られた既製の認印は1点も掲載されていません。載っているのは印鑑ケース・印鑑マット・朱肉・キャラクターの浸透印です。セリアには商品名から取扱いを引ける公式の検索画面がないため、セリアの現在の品ぞろえはこの方法では確認できませんでした。そのうえで、100円の印鑑が使える場面と使えない場面を法令の条文から整理します。
3社の公式通販に並ぶのは、ケースと朱肉だけ
ダイソーネットストアで「印鑑」を引くと88件。1ページ目の24件を並べると、内訳がはっきりします。
| 店 | 件数 | 中身 |
|---|---|---|
| ダイソー | 88件 | 印鑑ケース各種、印鑑マット、朱肉、朱肉インク、補充インキ、浸透印(こまち・かがやき)、丸形デスクスタンプ「済」。苗字の認印は無い |
| キャンドゥ | 8件 | 印鑑ケース(速乾朱肉付)、クラシックはんこケース、印鑑マット75×100mm、ワンタッチ朱肉。苗字の認印は無い |
| ワッツ | 78件 | クリア印鑑ケース、かんたん捺印印鑑ケース、印鑑ホルダーぱかっとポン!、角丸印鑑ケース、朱肉台。苗字の認印は無い |
| セリア | 確認できず | 商品名から取扱いを引ける公式の検索画面が無い |
ダイソーで「ネーム印」を引くと347件、「認印」で280件、「はんこ」で1,002件が返りますが、いずれも部分一致で拾われた名札・ふせん・粘土などが並ぶだけでした。件数が返ることは取扱いの証明になりません。3社とも、公式通販では印鑑本体を扱っていない、というのが測れた範囲の答えです。
この結果は「店頭にも無い」ことを意味しません。苗字入りの印鑑は品番が数千に及ぶため、通販に載せずに店頭だけで回している可能性があります。店頭の在庫については、公式通販からは判断できないという前提で読んでください。
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法人の届出印は、大きさが法令で決まっている
100円の印鑑が使えるかどうかは、用途によって答えが変わります。会社の印鑑を登記所へ届け出る場合は、法令に大きさの決まりがあります。
商業登記規則第九条第三項は、こう定めています。「印鑑の大きさは、辺の長さが一センチメートルの正方形に収まるもの又は辺の長さが三センチメートルの正方形に収まらないものであつてはならない。」続く第四項は「印鑑は、照合に適するものでなければならない。」です。
| 項 | 内容 | 言い換えると |
|---|---|---|
| 第三項 | 辺の長さが1cmの正方形に収まるものであってはならない | 小さすぎる印鑑は不可。市販の認印は直径10mm前後で、この条件に触れる |
| 第三項 | 辺の長さが3cmの正方形に収まらないものであってはならない | 大きすぎる印鑑も不可 |
| 第四項 | 印鑑は、照合に適するものでなければならない | 押すたびに形が変わるものは適さない |
市販のネーム印は直径10mm前後の丸形が標準です。たとえば回転式ネーム印として売られているジョインティJ9は「10mm丸」と表記されています。この寸法は1cmの正方形に収まってしまうため、会社の届出印としては条件を満たしません。
100円の認印で足りるのは、受け取りの押印や社内の確認印といった場面です。会社の登記に使う印鑑は、商業登記規則第九条の大きさの条件を満たすものを別に用意する必要があります。
個人の印鑑登録(実印)については、登録できる印鑑の条件を各市区町村の条例で定めています。手続きの前に、お住まいの自治体の案内を確認してください。
100円ショップで買えるのは「印鑑のまわり」
印鑑本体が見つからない一方で、周辺の道具はよくそろっています。ダイソーの88件を用途で分けると、次のようになります。
| 用途 | 商品 |
|---|---|
| 持ち歩く・保管する | そのまま押せる印鑑ケース シンプル/ネコ、印鑑ケース(和風・さくら・マトリョーシカ)、DX印鑑ケース、アクリル印鑑ケース(朱肉付) |
| きれいに押す | 印鑑マット、印鑑マット(ねこ)、はんこマット、スタンプマット グレー S TM-1 |
| 朱肉をそろえる | ワンタッチ朱肉、小判型朱肉 速乾タイプ、ミニ朱肉 速乾タイプ、朱肉インク10mL |
| 机の上に置く | 印鑑・ペンボックス(白/黒)8.4cm×11cm×6.2cm、コインケース(印鑑収納付タイプ) |
| 浸透印を使う | 浸透印 こまち・かがやき、補充インキ浸透印用、ネーム印ホルダー(くるっとスタンプ)、丸形デスクスタンプ「済」 |
「そのまま押せる印鑑ケース」のようにケースに朱肉が組み込まれた商品が複数あります。ケースと朱肉を別々に買わずに済むので、持ち歩き用としては合理的な構成です。キャンドゥの「印鑑ケース 速乾朱肉付 くすみカラー」やワッツの「クリア印鑑ケース 速乾朱肉付」も同じ形で、3社とも同種の商品を置いています。
用途から買う場所を決める
荷物の受け取りに使う認印
回転式ネーム印などが800円台から。100円ショップの公式通販には無いため、店頭で探すか通販で注文する
ケース・朱肉・マット
100円ショップで足りる。3社とも110円でそろい、ケースと朱肉が一体の商品もある
会社の登記に使う印鑑
商業登記規則第九条の大きさの条件を満たすもの。1cm角に収まる寸法は不可
個人の印鑑登録
登録できる印鑑の条件は市区町村の条例による。手続き前に自治体の案内で確認する
浸透印と朱肉で押す印鑑の違い
ダイソーにある「浸透印 こまち・かがやき」110円は、インクが本体に染み込んでいるタイプです。朱肉を使わずに押せるので便利ですが、商業登記規則第九条第四項の「照合に適するもの」という条件を考えると、届出印には向きません。印面がゴムでできているため、押す力によって形が変わるからです。
同じ理由で、銀行の届出印にも朱肉で押す印鑑が求められるのが一般的です。100円ショップの品ぞろえを見ると、浸透印はキャラクター商品と「済」などの確認用スタンプに限られていて、そもそも実務の届出印を想定した商品は置かれていないという構成になっています。
ワッツの78件を見ると、ケースの形だけでも「かんたん捺印印鑑ケース」「印鑑ホルダーぱかっとポン!」「角丸印鑑ケース/アンティーク風」「クリア印鑑ケース 速乾朱肉付」と分かれています。押しやすさを優先したもの、見た目を選ぶもの、中身が見えるものと、ケースだけで用途が細かく分かれているのが100円ショップの品ぞろえの特徴です。印鑑本体を置かない代わりに、周辺の道具に幅を持たせている、と読めます。
押し方で分かれる3種類
浸透印(インク内蔵)
朱肉が要らない。ダイソーに110円のキャラクター商品とデスクスタンプ。印面がゴムなので形が変わりうる
朱肉で押す既製の認印
苗字を選んで買う。100円ショップ3社の公式通販には掲載が無い。通販では800円台から
オーダーで作る印鑑
書体と大きさを指定できる。会社の届出印のように寸法の条件がある場合はこちらになる
まとめると、100円ショップ3社の公式通販には印鑑本体の掲載がなく、買えるのはケース・マット・朱肉です。セリアの現在の品ぞろえは公式の検索画面が無いため確認できませんでした。会社の登記に使う印鑑には1cm角に収まってはならないという法令上の条件があり、市販の10mm丸のネーム印は条件を満たしません。用途を先に決めてから買う場所を選ぶのが確実です。封筒や書類まわりの道具については白封筒無地の売り場もあわせて確認できます。
参考にした一次情報
- ダイソーネットストア「印鑑」の検索結果(88件)、「ネーム印」(347件)、「認印」(280件)、「はんこ」(1,002件)の各検索結果
- Can★Doネットショップ「印鑑」の検索結果(8件)/ワッツオンライン「印鑑」の検索結果(78件)
- e-Gov法令検索「商業登記規則(昭和三十九年法務省令第二十三号)」第九条第三項・第四項
セリアの品ぞろえは、商品名から取扱いを引ける公式の検索画面がないため判断していません。各社の実店舗の在庫は店舗ごとに異なり、公式通販の掲載内容とも一致しない場合があります。個人の印鑑登録で登録できる印鑑の条件は市区町村ごとの条例によるため、本文では具体的な数値を挙げていません。

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