台所の蛍光灯が切れたとき、「もう売っていないのではないか」「買いだめしたほうがよいのか」と迷う人が増えています。テレビCMでも「蛍光ランプの製造・輸出入禁止」が流れるようになりました。2026年11月4日に環境省、経済産業省、一般社団法人日本照明工業会、東芝ライテック、パナソニックの各公式情報を読み直したところ、禁止されるのは製造と輸出入だけで、環境省は「蛍光ランプの使用・販売・購入は禁止されません」とはっきり書いていました。つまり、いま切れた1本を買いに行くこと自体は止められません。問題になるのは、在庫が尽きたあとに何へ替えるかです。この記事では、禁止が始まる日を種類ごとに整理したうえで、手元の器具に応じた替え方を公式情報だけで並べます。
結論:いま慌てて買いだめする必要はない。禁止されるのは製造と輸出入だけ
最初に押さえるべき点は3つです。いずれも環境省と日本照明工業会が明記している内容で、推測は入っていません。
2026年11月4日に公式情報で確認した3点
- 禁止されるのは製造と輸出入。環境省は「蛍光ランプの使用・販売・購入は禁止されません」と記載している。
- 禁止の開始日は種類ごとに違う。電球形は2026年1月1日から、直管形と環形は2028年1月1日から。
- メーカーの生産終了は法律の期限より早い。パナソニックは直管・丸形などを2027年9月末、東芝ライテックは全131機種を2027年9月末で終える。
日本照明工業会のQ&Aは「2028年1月以降でも、禁止以前に製造・輸出入された蛍光ランプが市場で販売されていれば購入することは可能です」と答えています。同時に「現在お使いの蛍光ランプをそのままご使用いただくことは問題ありませんが、蛍光ランプが切れてしまうことを想定し、計画的なLED照明への切り替えをお勧めします」とも書いています。買いだめではなく、切れたときの行き先を先に決めておくのが現実的な対応です。種類ごとの期限そのものを一覧で見たいときは蛍光灯はいつまで買える?に時系列をまとめてあります。
禁止が始まる日は蛍光ランプの種類で4つに分かれる
環境省は「蛍光ランプの種類により製造・輸出入の禁止時期は異なります。2026年1月以降、種類ごとに段階的に禁止になります」として、4種類の開始日を公表しています。ハロりん酸塩を主成分とする蛍光体を使ったものだけ1年早い、という例外が直管形と環形に付いている点が読み落としやすいところです。
| 蛍光ランプの種類 | 禁止の開始日 | 公表されている例外・補足 |
|---|---|---|
| 電球形蛍光ランプ | 2026年1月1日 | 30Wを超えるものは2027年1月1日から |
| コンパクト形蛍光ランプ | 2027年1月1日 | 例外の記載なし |
| 直管形蛍光ランプ | 2028年1月1日 | ハロりん酸塩を主成分とする蛍光体を用いたものは2027年1月1日から |
| 環形蛍光ランプ | 2028年1月1日 | ハロりん酸塩を主成分とする蛍光体を用いたものは2027年1月1日から |

この4区分は、2024年12月に水銀による環境の汚染の防止に関する法律施行令が改正され、一般照明用蛍光ランプのすべてが「特定水銀使用製品」に指定されたことで決まりました。経済産業省が公開している規制開始日の資料を見ると、改正前の2018年1月1日の時点ですでに水銀含有量の多い一部の品種は規制済みで、今回の改正はそこに残り全部を足した形になっています。
蛍光ランプ規制が決まるまでと、これから起きること
水銀汚染防止法の政令制定時の規制が開始。電球形は30W以下で水銀5mg超のもの、直管形は水銀含有量の多い一部品種だけが対象だった。
スイス・ジュネーブで水銀に関する水俣条約第5回締約国会議(COP5)が開催。一般照明用蛍光ランプの製造と輸出入を、種類に応じ2026年末または2027年末までに段階的に廃止することが合意された。
「水銀による環境の汚染の防止に関する法律施行令の一部を改正する政令」が閣議決定。一般照明用蛍光ランプの全てが特定水銀使用製品に指定された。
電球形蛍光ランプ(30W以下)の製造・輸出入が禁止。
コンパクト形蛍光ランプと、ハロりん酸塩蛍光体の直管形・環形が禁止。
直管形・環形の残り全部が禁止。これで一般照明用蛍光ランプの製造・輸出入はすべて終わる。
メーカーの生産終了は法律の期限より早い
実際に店頭から消える時期を決めるのは、法律の期限ではなくメーカーの生産終了です。2社が公表している予定を並べると、いずれも2027年9月末で、政令上の直管形の期限(2028年1月1日)より3か月以上前に終わります。
| メーカー | 対象 | 生産終了時期 | 告知での表現 |
|---|---|---|---|
| 東芝ライテック | すべての蛍光ランプおよび電子点灯管 全131機種 | 2027年9月末 | 「販売は在庫限りとさせていただきます」 |
| パナソニック | ツイン蛍光灯 | 2026年9月末 | 安定供給と製造ラインの効率化を目的に前倒し |
| パナソニック | 直管蛍光灯、丸形蛍光灯、点灯管、電球のすべての従来光源 | 2027年9月末 | 「上記より前倒しで終了させていただく場合があります」 |
東芝ライテックの告知には対象の内訳も載っていて、環形が30機種、直管形は3波長形メロウ5の22機種を筆頭に並び、観賞魚用・植物育成用・食肉展示用といった用途別のランプまで含めて全131機種です。パナソニックは2025年10月の案内で、直管蛍光灯2品番と丸形蛍光灯12品番については2026年3月末へ前倒しすると告知しています。「2027年末まではまだ2年ある」と考えていると、型番によっては先に入手できなくなります。

まず見るのは品番の先頭文字。「F」か「EF」なら蛍光ランプ
替え方を決める前に、手元の照明が蛍光灯かどうかを確かめます。環境省は「蛍光灯の品番は『F』か『EF』で始まるものが多いです(海外製品などでは、表記が異なる場合もあります)」と案内しています。日本照明工業会も「照明器具のカバーを外してランプを確認してください。白いチューブ状のガラス管であれば蛍光ランプの可能性が高いです」と同じ見分け方を挙げています。
種類の見当は品番の続きでも付きます。直管形はFL・FLR・FHF、環形はFCL・FHD・FHC、コンパクト形はFPL・FDL・FML、電球形はEFA・EFG・EFDなどです。判断が付かないときは、無理に自己判断せず、ランプと器具本体の写真を撮って販売店かメーカーに相談するよう環境省が勧めています。なお「生産終了」と「販売終了」「終売」は意味が違うので、告知の文言で迷ったら廃盤とは?生産終了・販売終了・終売・休売の違いも参照してください。
替え方は3つ。器具の種類で選べるものが変わる
蛍光灯から先へ進む道は3つあります。日本照明工業会が推しているのは、このうち「器具まるごと交換」です。理由は後述しますが、先に3つの違いを並べます。
蛍光灯から替える3つの方法
① 器具まるごとLED照明器具へ
工業会の推奨。安定器を含む古い電源回路ごと新しくなるため、劣化による故障や事故のリスクが残らない。
天井に引掛シーリングがあれば自分で付け替えられる。無い場合は電気工事が必要。
② 電球形蛍光ランプ → LED電球
器具交換は不要。工業会も「電球形蛍光ランプをLED電球に交換する場合はこの限りではありません」として例外扱いにしている。
電球形蛍光ランプもLED電球も、点灯させる電源回路がランプ本体の中にあるため。
③ 蛍光灯器具のまま直管LEDランプへ
工業会は推奨していない。改造工事を行うと既設照明器具メーカーの製品保証が適用外になる。
組み合わせを誤ると発煙・発火の事例がある。実施するならガイド301に沿った工事が前提。
①と②が分かれる理由を、日本照明工業会は電源回路の置き場所で説明しています。「電球形蛍光ランプやLED電球は、ランプを点灯させるための電源回路がランプ本体に含まれています。一方、蛍光灯器具は安定器と呼ばれる電源回路が器具本体側にあります。そのため、ランプだけ交換すると電源部分は継続して長期間使用されることになり、劣化による故障や事故を起こすリスクがあるため、器具ごと交換をお勧めしています」という書き方です。白熱電球の器具はそのままでよいのに蛍光灯器具は丸ごと替える、という違いはここから来ています。
直管LEDへの付け替えでは、実際に火災と焼損が起きている
③を選ぶ人が知っておくべき事故が、日本照明工業会のページに2件載っています。どちらも独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)の製品安全情報メールマガジンVol.463が出どころです。
| 発生 | 何が起きたか | 推定原因 |
|---|---|---|
| 2021年 滋賀県 | 蛍光灯器具付近から異臭がし、直管LEDランプの一部が溶融した | グロースターター式の蛍光灯器具に直管LEDランプを装着する際、グローランプを取り外さなかったため異常発熱したと推定 |
| 2021年 神奈川県 | スイッチを入れたところ異臭がし、当該製品および周辺を焼損する火災が発生した | ラピッドスタート式の蛍光灯器具に直管LEDランプを取り付けたが、必要な改造工事が行われておらず、安定器の異常発熱で出火したと推定 |

工業会は、それでもG13口金の直管LED光源へ替える場合の条件を2つ挙げています。1つはG13口金直管LED光源がJLMA301(AC直結G13口金直管LED光源-安全規格)に準拠していること、もう1つは改造工事の際にガイド301を守ることです。ガイド301は電気工事業者向けの内容で、器具内の安定器は将来の保守作業で蛍光灯器具と誤認されないよう取り外す、ソケットや端子台は劣化状態を確認して必要なら交換する、工具を使わないと交換できない構造にする、改造後の器具には適合するLED光源の形式と蛍光ランプが使えない旨を表示する、といった項目が並びます。
ここで見落とされやすいのは、ガイド301に従って改造した器具には従来の蛍光ランプが使えなくなるという点です。器具の銘板に書かれた定格や適合ランプの情報は無効になり、その旨の表示を貼ることまで求められています。
もう1つは保証です。工業会は「既設の蛍光灯器具にLED化改造工事を行うと、既設照明器具メーカの製品保証が適用外になります」と明記しています。内部配線の切断や再結線を伴うリニューアルも同じ扱いです。費用だけで比べると直管LEDが安く見えますが、保証と安全の条件まで含めると差は縮みます。
自分で交換できるかは、天井の引掛シーリングで決まる
器具まるごと交換を選んだとき、次の分かれ目は工事が要るかどうかです。日本照明工業会は「天井に引掛けシーリングがついていれば交換できますが、ない場合は電気工事が必要となりますので、電器店や工事店にご相談をお願いします」と案内しています。シーリングライトやペンダントライトの多くは引掛シーリングで付いているため、自分で外して新しいLED照明器具を取り付けられます。
一方、キッチンの棚下灯や浴室灯、直付けの直管形器具は天井や壁に直接固定されていることが多く、取り外しに電気工事士の資格が要ります。工業会は相談先として、全国の「まちのでんきやさん」や家電量販店の工事サービス、関東地区と静岡県の一部であれば全関東電気工事協会が運営する住宅電気工事センターを挙げています。費用の面では、事業者向けに制御機能付きLED照明器具を対象とした補助の枠組みがあり、その内容は蛍光灯の生産終了、LED化に補助金は出る?で確認できます。
製造終了を知っている人は47.6パーセント。半年ごとに上がり続けている
日本照明工業会は、蛍光ランプ製造終了の認知度をインターネット調査で半年ごとに測っています。対象はランダム抽出の10,000名です。2024年2月は13.6%でしたが、2026年8月には47.6%まで上がりました。それでもまだ半数を超えていません。
蛍光ランプ製造終了の認知度(%)の推移
13.6
2024年8月
23.1
2025年2月
34.0
2025年8月
40.8
2026年2月
42.4
2026年8月
47.6
同じ調査では照明器具の耐用年限の認知度も測っていて、こちらは2024年2月の27.4%から2026年8月の33.3%までしか動いていません。製造終了のほうは2年半で3.5倍になったのに対し、器具そのものに寿命があることはあまり知られていないままです。工業会が「ランプ交換ではなく、器具まるごと交換」を繰り返し呼びかけている背景には、この差があります。
| 調査時期 | 蛍光ランプ製造終了の認知度 | 照明器具耐用年限の認知度 |
|---|---|---|
| 2024年2月 | 13.6% | 27.4% |
| 2024年8月 | 23.1% | 27.6% |
| 2025年2月 | 34.0% | 31.2% |
| 2025年8月 | 40.8% | 30.4% |
| 2026年2月 | 42.4% | 31.5% |
| 2026年8月 | 47.6% | 33.3% |
外した蛍光ランプの捨て方と、便乗した不審な電話への注意
蛍光ランプには微量の水銀が含まれています。日本照明工業会は「一般家庭で使用される蛍光ランプ等は、水銀使用製品ですので、ガラスの破損に注意し、自治体の回収ルールに従い正しく分別・排出してください」としています。事業所から出たものは扱いが変わり、「事業所から排出される水銀使用ランプは、水銀使用製品産業廃棄物に該当しますので、廃棄物処理法に則り適正に対処してください」と書かれています。家庭ごみと同じ感覚でまとめて出せるものではありません。
もう1つ、環境省がページ上部で注意喚起しているのが便乗した電話です。「環境省との関係を示唆し、蛍光ランプからLED照明への交換に関する調査などとして、アンケートへの協力を求める電話があったとの情報が寄せられています」として、環境省との関係が確認できない電話に個人情報や事業所情報を伝えたり、契約や支払いを行ったりしないよう呼びかけています。勧誘や契約のトラブルは消費者ホットライン「188」が相談先です。LED化を急かす電話がかかってきたら、まずこの注意書きを思い出してください。
よくある質問
Q. 2028年以降、蛍光灯は一切買えなくなりますか。
A. 買えなくなるとは限りません。日本照明工業会は「2028年1月以降でも、禁止以前に製造・輸出入された蛍光ランプが市場で販売されていれば購入することは可能です」と答えています。禁止されるのは製造と輸出入であって、在庫の販売と購入は対象外です。
Q. いま使っている蛍光灯は、禁止後も使い続けてよいのですか。
A. 使えます。環境省は「蛍光ランプの使用・販売・購入は禁止されません」と明記しています。工業会も継続使用は問題ないとしたうえで、切れたときに備えて計画的にLEDへ切り替えるよう勧めています。
Q. 買いだめしておいたほうがよいですか。
A. 公式情報の範囲では、買いだめを勧める記述はありません。切れた時点で器具ごとLEDへ替える前提なら、予備を大量に抱える理由は薄くなります。特定の型番を使い続けたい事情があるなら、パナソニックのように一部品種を前倒しで終えるメーカーがあるため、早めに在庫を確認するという判断はあり得ます。
Q. 電球形蛍光ランプもまるごと交換が必要ですか。
A. 不要です。工業会は「電球形蛍光ランプをLED電球に交換する場合はこの限りではありません」として、器具まるごと交換の例外にしています。電源回路がランプ本体側にあるためです。
Q. 殺菌灯やブラックライトも禁止になりますか。
A. 今回の禁止の対象は「一般照明用」の蛍光ランプです。工業会は特殊用途蛍光ランプを「特殊な波長分布を持つもの(色評価用、高演色用など)、特殊な用途(半導体工場・ショーケースなど)として使用されるもの」と説明しており、一般照明用とは区別されています。ただし東芝ライテックのように、殺菌ランプやブラックライト蛍光ランプを自社の生産終了対象へ含めているメーカーもあります。
Q. 賃貸住宅でも器具ごと交換できますか。
A. 引掛シーリングに付いている器具は入居者の持ち物であることが多く、自分で付け替えられます。天井や壁に直付けされている器具は建物側の設備にあたるため、交換の前に管理会社や大家に確認してください。

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