イソトレチノインはどこで買える?日本では未承認で薬局も通販も扱えない。個人輸入は数量に関係なく処方箋の確認が必要

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イソトレチノインはどこで買える?と書かれた赤枠のアイキャッチ。売り場の棚に禁止マークが重なり、カプセルの矢印が書類へ向かう説明用イラスト

イソトレチノイン(Isotretinoin)を日本の薬局やネット通販で探しても出てきません。これは在庫切れでも取り寄せでもなく、この成分の飲み薬が日本で承認されていないためです。厚生労働省は2026年10月29日時点で、イソトレチノインを「医師の適切な指導のもとに使用されなければ健康被害のおそれがある未承認の医薬品」の1番目に挙げ、数量にかかわらず個人輸入を制限しています。この記事では、買い場ごとに買えるのか買えないのかを、厚生労働省の通知と薬機法の条文、日本皮膚科学会のガイドラインで1つずつ確かめます。

この記事で確かめたこと

  1. 厚生労働省の通知(医薬監麻発0210第4号・令和7年2月10日)の別紙に、「2.医師の適切な指導のもとに使用されなければ健康被害のおそれがある未承認の医薬品」の(1)としてイソトレチノインが載っています。
  2. 同じ別紙は、具体的な販売名としてAccutane(米国)、Roaccutane(EU等)、Amnesteem、Claravis、Sotret(いずれも米国)、Isotroin(インド)、Acnotin(タイ)の7つを例示しています。
  3. 薬機法は第14条第1項で品目ごとの承認を求め、第55条第2項で、承認を受けずに製造販売された医薬品の販売・授与・陳列を禁じています。だから薬局にも通販にも並びません。
  4. 個人輸入では、通常の処方箋医薬品は「用法用量からみて1か月分以内」なら税関の確認だけで通せますが、イソトレチノインは数量に関係なく、医師の処方箋等が確認できない限り輸入が認められません。
  5. 厚生労働省は個人輸入について「重大な健康被害が生じた場合でも救済対象にはなりません」と明記しています。国内で適正に販売された医薬品にある医薬品副作用被害救済制度が使えません。
  6. 日本皮膚科学会の『尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023』は、未承認薬を推奨の対象から外したうえで、囊腫について「海外ではレチノイド内服が勧められているが,本邦では使用できない」と書いています。
目次

薬局・ドラッグストア・通販では買えない

先に結論だけ書きます。2026年10月29日時点で、イソトレチノインの飲み薬を日本国内の店舗やネット通販で買う方法はありません。マツモトキヨシやウエルシアのような調剤併設のドラッグストアでも、Amazon・楽天市場・Yahoo!ショッピングでも同じです。扱いがないのではなく、扱うと法律に触れるという関係になっています。

探している人が見つけてしまうのは、たいてい「個人輸入代行」をうたう通販サイトです。見た目は普通のネットショップですが、国内の販売ではなく、注文した人が海外から自分で輸入する形をとっています。この違いが、あとで述べる救済制度の話につながります。

表1 買い場ごとの可否(2026年10月29日時点・厚生労働省の通知と薬機法の条文で判断)
探す場所 買えるか そうなる理由
ドラッグストア・薬局の店頭 買えない 国内未承認のため、薬機法第55条第2項により販売・授与・陳列ができない
Amazon・楽天市場・Yahoo!ショッピング 買えない 同上。国内の通信販売も「販売」にあたる
調剤薬局(処方箋を持参) 原則なし 薬価基準に収載された医薬品ではないため、通常の院外処方の流通には乗らない
個人輸入代行サイト 認められない 医師の処方箋等が確認できない限り、数量に関係なく一般の個人の輸入が認められない品目
自分で海外から取り寄せる 確認が必要 同上。輸入確認証の申請で、医師の処方箋等の提出を求められる
国内の医療機関(自由診療) 道はある 医師が自分の患者の治療に使うために輸入確認証を取得して輸入する区分がある

最後の行だけが「ある」になっています。ここが「どこで買えるか」という問いに対する実務上の答えで、買うというより診察を受けて医師の管理下で使うという形になります。手続きの中身は後の節で見ます。

なぜ国内で売れないのか──薬機法第14条と第55条

医薬品を日本で製造販売するには、品目ごとに厚生労働大臣の承認が要ります。薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)の第14条第1項がその根拠です。

(医薬品、医薬部外品及び化粧品の製造販売の承認)第十四条 医薬品(厚生労働大臣が基準を定めて指定する医薬品を除く。)、医薬部外品(厚生労働大臣が基準を定めて指定する医薬部外品を除く。)又は厚生労働大臣の指定する成分を含有する化粧品の製造販売をしようとする者は、品目ごとにその製造販売についての厚生労働大臣の承認を受けなければならない。

承認がないとどうなるかを決めているのが第55条第2項です。第14条第1項に違反して製造販売された医薬品は、販売も授与も、販売目的の貯蔵も陳列もしてはならない、と書かれています。棚に置くことそのものが禁止されているので、「取り寄せならできる」という逃げ道もありません。

さらに第68条が、承認を受けていない医薬品について、名称・製造方法・効能・効果・性能の広告を禁じています。個人輸入代行サイトが効果をはっきり書かず、体験談や「海外では」といった言い回しに寄る理由はここにあります。

表2 イソトレチノインの国内での扱いを決めている3つの条文(e-Gov法令検索で本文を確認)
条文 見出し この成分にどう効くか
薬機法 第14条第1項 医薬品、医薬部外品及び化粧品の製造販売の承認 品目ごとの承認が要る。イソトレチノインの内服薬はこの承認を受けていない
薬機法 第55条第2項 販売、授与等の禁止 承認を受けずに製造販売された医薬品は販売・授与・貯蔵・陳列ができない
薬機法 第68条 承認前の医薬品、医療機器及び再生医療等製品の広告の禁止 名称・製造方法・効能・効果・性能の広告ができない
厚生労働省の通知「数量にかかわらず厚生労働省の確認を必要とする医薬品の改正について」別紙9ページ目の公式キャプチャ画面。「2.医師の適切な指導のもとに使用されなければ健康被害のおそれがある未承認の医薬品」の見出しの下に、(1)イソトレチノイン(Isotretinoin)から(10)レナリドミド(lenalidomide)までの10成分が番号付きで並んでいる
厚生労働省の通知(医薬監麻発0210第4号、令和7年2月10日)の別紙。未承認医薬品の一覧の先頭にイソトレチノインが置かれている。

個人輸入は「数量にかかわらず確認が必要」な側に入っている

医薬品の個人輸入には、量の上限が決まっています。厚生労働省の「医薬品等の個人輸入について」によれば、毒薬・劇薬・処方箋薬は用法用量からみて1か月分以内、それ以外の内服薬は2か月分以内なら、地方厚生局への申請をせずに税関の確認だけで通せます。

ところがイソトレチノインは、この上限の表には乗りません。厚生労働省は別枠で「医師の処方箋又は指示によらない個人の自己使用によって、重大な健康被害の起きるおそれがある医薬品」を指定していて、そこに載っている品目は数量に関係なく、医師からの処方箋等が確認できない限り一般の個人による輸入が認められないと書いています。イソトレチノインはその一覧の先頭にあります。

厚生労働省の「医薬品等の個人輸入について」のページの公式キャプチャ画面。1.医薬品等輸入確認証の交付を要せず個人輸入可能な医薬品等の数量についての見出しの下に、毒薬、劇薬又は処方箋薬は用法用量からみて1ヶ月分以内、上記以外の医薬品・医薬部外品は2ヶ月分以内と書かれ、その下に数量にかかわらず厚生労働省の確認を必要とするものへのPDFリンクがある
厚生労働省 医薬局 監視指導・麻薬対策課「医薬品等の個人輸入について」。量の上限と、それとは別枠の指定品目の説明が同じページに並ぶ。
表3 個人輸入で申請なしに通せる量と、イソトレチノインの扱い(厚生労働省の案内による)
区分 申請なしで通せる量 イソトレチノインの場合
外用剤(毒薬・劇薬・処方箋薬を除く) 標準サイズで1品目24個以内 当てはまらない
毒薬・劇薬・処方箋薬 用法用量からみて1か月分以内 当てはまらない
それ以外の医薬品・医薬部外品 用法用量からみて2か月分以内 当てはまらない
数量にかかわらず確認が必要な医薬品 上限の考え方そのものが適用されない ここに該当。処方箋等が確認できない限り輸入が認められない

量を小分けにして何度も注文すれば通る、という抜け道もふさがれています。厚生労働省は、梱包を分割して1回あたりの数量を抑えた場合でも、同一輸入者の一定期間内の輸入総数量が上限を超えていれば輸入確認証の取得が必要だと説明しています。

注文から手元に届くまでに通る関門

1

国内の店・通販で探す

承認がないため棚に無い。薬機法第55条第2項で販売・陳列が禁止されている。ここで止まる。

2

個人輸入代行サイトで注文する

国内の売買ではなく、注文した人が輸入者になる。この成分は数量にかかわらず処方箋等の確認が要る品目なので、確認できなければ認められない。

3

税関で止まる

通常の処方箋薬なら1か月分以内は税関限りの確認で通るが、この成分はその枠の外にある。

4

医療機関を受診する

医師が自分の患者の治療に使うために輸入確認証を取得して輸入する区分がある。診察と経過観察が前提になる。

個人輸入でトラブルが起きても救済制度は使えない

ここが、値段だけを見て判断すると見落とす部分です。日本国内で適正に販売された医薬品を、決められた使い方で使ったのに重い副作用が出た場合には、医薬品副作用被害救済制度という公的な給付の仕組みがあります。入院を要する程度の健康被害や、日常生活が著しく制限される障害が対象です。

この制度は、個人輸入した医薬品には使えません。厚生労働省の啓発サイト「あやしいヤクブツ連絡ネット」は、個人輸入のリスクを並べた3番目の項目で、はっきりこう書いています。

重大な健康被害が生じた場合でも救済対象にはなりません。日本国内で医薬品医療機器等法を遵守して販売等されている医薬品については、それを適正に使用したにもかかわらず重大な健康被害が生じた場合に医薬品副作用被害救済制度があります。

厚生労働省のあやしいヤクブツ連絡ネットの個人輸入のリスクのページの公式キャプチャ画面。リスク(危険性)と必要性をよく考えて!という見出しの下に4項目が並び、3番目の副作用や不具合などが起きた場合に、対処方法が不明なことがあるの中に、重大な健康被害が生じた場合でも救済対象にはなりませんと書かれている
厚生労働省「あやしいヤクブツ連絡ネット」の個人輸入のリスク。同じページに偽造品と正規品の見分けの例も載っている。

同じページは、代行業者についても「健康被害等のトラブルが生じても輸入代行業者は責任を負わず、全て購入者の責任とされることがあります」と書いています。安く買えたように見えても、何かあったときに費用と責任を引き受けるのは注文した本人です。

品質そのものが確かめられていません。厚生労働省は、国によっては日本と同じ水準の品質確認が行われておらず、期待する効果が得られなかったり人体に有害な物質が含まれていたりすることがある、と説明しています。同じページには、海外で摘発された偽造医薬品の製造現場の写真と、バイアグラ・レビトラ・シアリスの正規品と偽造品を並べた比較画像が載っています。

見た目が本物そっくりでも中身が違う例が実際にあるため、届いた錠剤やカプセルから品質を判断することはできません。

日本の医療機関で処方を受けられるのか

受けられる場合があります。厚生労働省の輸入確認の仕組みには、個人が自分で使うために輸入する区分とは別に、「医師等が治療に用いるために輸入する場合」という区分が用意されているからです。医療機関がこの手続きで輸入した薬を、診察のうえで使うという流れになります。

手続きは紙の申請からオンラインへ移っています。厚生労働省の「医薬品等輸入確認情報システム」は令和5年2月1日に運用が始まり、個人使用のための輸入、医師等が治療に用いるための輸入、試験研究等を目的とした輸入の3区分でオンライン申請ができるようになりました。

ただし、この記事で確認できたのはあくまで制度の枠組みだけです。どの医療機関が実際に取り扱っているか、費用がいくらになるかは、公的な資料からは分かりませんでした。国内で承認された医薬品のような公定価格が存在しないため、金額は医療機関ごとに決まります。バイアグラはどこで買える?で見た処方箋医薬品のように「国内に承認された薬があり、保険の適用範囲が決まっている」という場合とは、前提そのものが違います。

国内で承認されているにきびの薬はどれか

日本皮膚科学会の『尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023』は、作成方針の段階で「本邦における未承認薬については,現時点での推奨は困難と考え採用していない」と断っています。そのうえで、国内で使える薬について推奨度を付けています。推奨度Aは「行うよう強く推奨する」という意味です。

表4 尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023で推奨度Aが付いた外用療法(炎症性皮疹)
CQ 治療 対象 推奨度
CQ1 クリンダマイシン1%/過酸化ベンゾイル3%配合ゲル 中等症から重症 A
CQ2 アダパレン0.1%/過酸化ベンゾイル2.5%配合ゲル 中等症から重症 A
CQ3 アダパレン0.1%ゲルと外用抗菌薬の併用 軽症から重症 A
CQ4 過酸化ベンゾイル2.5%ゲル 軽症から中等症 A

いずれも医師の処方が必要な医療用医薬品で、ドラッグストアの棚には並びません。重い症例についてガイドラインがどう書いているかも、そのまま引いておきます。囊腫(のうほう)について述べた箇所です。

囊腫は抗菌薬に反応しにくいため,海外ではレチノイド内服が勧められているが,本邦では使用できない。

「使えないから我慢する」ではなく、代わりに炎症を伴う囊腫内へのステロイド局所注射を推奨する、というのがガイドラインの結論です。内服の選択肢としては、ドキシサイクリンとミノサイクリンに推奨度Aが付いています。

この構図は、市販されない薬を扱った他の記事と同じです。コンサータはどこで買える?では登録された医師と薬局でしか受け取れない仕組みが理由でしたし、マイティアルミファイはどこで売ってる?では要指導医薬品という区分がネット通販に出ない理由でした。イソトレチノインの場合は、そもそも承認が無いという一段手前の話になります。

よくある質問

海外で買って自分で持ち帰るのはどうですか

携帯して持ち帰る場合も個人輸入にあたります。厚生労働省は「海外から持ち帰る場合を含む」と明記しています。イソトレチノインは数量にかかわらず処方箋等の確認が必要な品目なので、量が少なければ良いという扱いにはなりません。

アキュテインやロアキュタンという名前なら別の薬ですか

同じ成分の別の販売名です。厚生労働省の通知の別紙は、イソトレチノインを含む製品の例としてAccutane(米国)、Roaccutane(EU等)、Amnesteem、Claravis、Sotret(いずれも米国)、Isotroin(インド)、Acnotin(タイ)を挙げています。名前が違っても扱いは変わりません。

個人輸入代行サイトは違法なのですか

サイトの運営自体の是非をこの記事で判断することはしません。確かなのは、注文した人が輸入者になるという点と、イソトレチノインについては医師の処方箋等が確認できない限りその輸入が認められないという点です。厚生労働省は代行業者について、トラブルが生じても業者は責任を負わず購入者の責任とされることがある、と注意喚起しています。

通販サイトに「イソトレチノイン」の名前で商品が並んでいます

国内の通販サイトであれば、名前が似ているだけの別のもの(化粧品やサプリメント)である可能性があります。外用のレチノールやレチノイン酸を配合した化粧品は国内でも流通していて、成分名が近いため検索では同じ場所に出てきます。内服のイソトレチノインとは別物です。商品ページで成分表示と区分(医薬品なのか化粧品なのか)を確かめてください。

病院で保険は使えますか

国内で承認されていない医薬品なので、保険診療で扱われる薬の一覧には載っていません。費用がいくらになるかは、今回参照した公的資料からは分かりませんでした。受診する医療機関に直接確かめてください。

市販のにきび薬では足りないときはどうすればよいですか

ガイドラインが推奨度Aを付けているのは、いずれも医師が処方する外用薬です。市販薬で改善しない場合は、個人輸入を考える前に皮膚科を受診するのが、制度上も安全面でも近道になります。ロキソニンはどこで買える?のように、同じ成分でも市販できる区分と医師の処方が要る区分が分かれている例もあります。

出典

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