カルボナーラやアマトリチャーナを本来の材料で作ろうとして、グアンチャーレを探したことのある人は、輸入食材店を何軒まわっても見つからなかったのではないでしょうか。これは店の品ぞろえの問題ではありません。グアンチャーレの本場であるイタリアからの豚肉と豚肉加工品は、2022年1月8日から日本への輸入が止まっています。動物検疫所の家畜衛生条件のページを2026年10月27日に引き、あわせてカルディ・富澤商店の公式通販と、現在も輸入条件が生きている国の商品を確認して、いま日本で何が買えるのかを整理しました。
この記事で確かめたこと
- 動物検疫所の家畜衛生条件のページには、イタリア産の豚・イノシシ・シカ由来の畜産物について「アフリカ豚熱の発生が確認されたため、令和4年1月8日以降、輸入が停止されました」と書かれています(2026年10月27日時点)。
- 同じページでスペインも令和7年11月28日以降、輸入が停止されています。つまり2025年11月28日以降に積まれたスペイン産は入ってきません。
- いま輸入条件が生きている国としてはベルギーがあり、家畜衛生条件(平成27年8月18日付け27消安第2556号)と指定施設一覧が掲載されています。通販で並ぶグアンチャーレにベルギー産が多いのはこのためです。
- カルディコーヒーファームのオンラインストアで「グアンチャーレ」は全0件、富澤商店のオンラインショップも全0件でした。
- 輸入商社の東西産業貿易のカタログには、原産国イタリアのグアンチャーレ(カット)約1.8kg/本のページが今も残っています。掲載が残っていることと、いま輸入できることは別です。
- グアンチャーレは豚ほほ肉、パンチェッタは豚ばら肉で、どちらもくん煙しません。ベーコンは日本農林規格でくん煙することが定義に入っています。
見つからない理由は品ぞろえではなく、動物検疫にある
グアンチャーレはイタリアの保存食で、ローマ周辺の料理に欠かせない材料です。日本で手に入りにくいのは人気がないからでも、輸入食材店が扱いたくないからでもありません。国が定める家畜衛生条件で、イタリアからの豚肉と豚肉加工品の輸入そのものが止まっているためです。
動物検疫所の「偶蹄類動物の畜産物(ヨーロッパ、ロシア)」のページは、対象を「肉、臓器、ソーセージ、ハム、ベーコン及びその加工品」と定めたうえで、国ごとに条件と停止状況を並べています。イタリアの項には、豚・イノシシ・シカ由来の畜産物についてはっきりと停止が明記されています。

この停止は一時的な措置として始まり、2026年10月27日時点でも解除されていません。令和4年1月8日は2022年1月8日ですから、4年以上にわたって続いていることになります。
止まっているのはイタリアだけではない
同じページを国ごとに読むと、ヨーロッパの豚肉は国によって扱いがかなり違うことが分かります。グアンチャーレやパンチェッタの原産国として商品ラベルに出てくる国を抜き出すと、次のようになります。
| 国 | 現在の扱い | ページに書かれている日付 |
|---|---|---|
| イタリア(サルジニア島を除く) | アフリカ豚熱により輸入停止 | 令和4年1月8日以降 |
| スペイン | アフリカ豚熱により輸入停止 | 令和7年11月28日以降 |
| フィンランド | アフリカ豚熱により輸入停止 | 令和8年7月31日以降 |
| ドイツ | アフリカ豚熱により輸入停止 | 令和2年9月11日以降 |
| ポーランド | アフリカ豚熱により輸入停止 | 平成26年2月18日以降 |
| サンマリノ | イタリアの発生を受けて輸入停止 | 日付の記載なし |
| ベルギー | 家畜衛生条件あり | 平成27年8月18日付けの条件 |
| フランス | 家畜衛生条件あり(新条件) | 令和7年10月29日に旧条件が終了 |
| スウェーデン | 停止が解除された | 令和8年4月17日以降にと殺された分 |
注意したいのはスペインです。通販サイトでは「スペイン産グアンチャーレ」や「イベリコ豚ののど肉」といった商品が今も並んでいますが、動物検疫所のページでは令和7年11月28日以降の輸入が停止されています。あわせて、令和7年10月29日以前にと殺・加工・梱包まで終了し、スペイン政府が証明したものは対象外とする但し書きも書かれています。いま店頭や通販にあるスペイン産は、この但し書きに当たるものか、停止前に入ったものということになります。
「輸入停止」は食べてはいけないという意味ではありません。家畜の伝染病を日本へ持ち込まないための措置で、すでに国内にある商品の安全性を否定するものではありません。読者が気にすべきなのは「次も同じものが買えるとは限らない」という一点です。
停止と解除は国ごとに動きます。上の表はあくまで2026年10月27日時点のもので、スウェーデンのように解除された例もあります。買う前に動物検疫所のページを開き直すのが確実です。
いま日本で買えるグアンチャーレは、イタリア産ではない
では何も買えないのかというと、そうではありません。輸入条件が生きている国で作られたグアンチャーレが流通しています。イタリアの製法で、イタリア以外の国で作るという形です。
輸入食材を扱うFIOR DI MASOの公式通販には「ベルギー産 グアンチャーレ」が3,240円(税込)で並んでいます。グラム数は約250g〜300gと約450g〜500gの2つから選ぶ形で、商品説明では「イタリアの伝統を守りながら作られたベルギー産のグアンチャーレ」「豚ほほ肉で作られ、表面は黒胡椒のみを使用」と書かれています。
| 商品 | 価格 | 選べるグラム数 | 部位 |
|---|---|---|---|
| ベルギー産 グアンチャーレ | 3,240円 | 約250g〜300g/約450g〜500g | 豚ほほ肉 |
| ベルギー産 パンチェッタ | 2,646円 | 300g〜350g/500g〜550g | 豚バラ肉 |
同じ店の送料は990円(税込)、沖縄は1,650円(税込)で、商品合計10,000円(税抜)以上で無料になると案内されています。1本だけ買うと送料の比率が大きくなるため、パンチェッタやチーズとまとめて買う人が多い価格設計です。
カルディにも富澤商店にも、グアンチャーレは1件も無い
輸入食材といえば最初に思い浮かぶ2店で、実際に検索した結果を載せます。どちらも結果は0件でした。

| 店 | 結果 | 画面の表示 |
|---|---|---|
| カルディコーヒーファーム オンラインストア | 全0件 | 該当する商品はございません |
| 富澤商店 オンラインショップ | 全0件 | 「グアンチャーレ」の検索結果(全0件) |
| 成城石井.com | 確認できなかった | 2回試したがいずれも別サイトの画面が返り、検索結果を取得できなかった |
カルディの棚はイタリア食材に強い店ですが、生の豚肉加工品はそもそも扱いが限られます。カダイフやヌテラのような乾物・瓶詰めとは、入ってくる経路がまったく違う商品だと考えてください。
輸入商社のカタログには、イタリア産の掲載が残っている
業務用の輸入食材を扱う東西産業貿易のサイトには、「グアンチャーレ(カット)」のページが今も公開されています。原産国はイタリア、仕様は約1.8kg/本で4本/ケースと書かれ、商品説明は「脂肪が多い豚のほほ肉を塩漬けして乾燥させた生ハムです」となっています。

このページを見て「イタリア産が買える」と判断すると行き違いが起きます。輸入商社の商品カタログは取扱品目を紹介するもので、在庫や輸入可否をその場で示すものではありません。家畜衛生条件の側が停止になっていれば、カタログに載っていても新しく入ってはきません。商品名や原産国の記載だけで判断せず、動物検疫所のページと突き合わせるのが確実です。
代用するならパンチェッタ。ベーコンとは規格の段階で違う
グアンチャーレが手に入らないとき、現実的な代用はパンチェッタです。さらに手近な代用としてベーコンを挙げる説明もよく見かけますが、この3つは部位も工程も違います。
| 名前 | 部位 | くん煙 | 何に書かれているか |
|---|---|---|---|
| グアンチャーレ | 豚ほほ肉 | しない(表面は黒胡椒のみ) | FIOR DI MASO・東西産業貿易の商品説明 |
| パンチェッタ | 豚バラ肉 | しない | FIOR DI MASOの商品説明 |
| ベーコン | 豚のばら肉 | する | ベーコン類の日本農林規格 第2条 |
| ロースベーコン | 豚のロース肉 | する | ベーコン類の日本農林規格 第2条 |
ベーコン類の日本農林規格(最終改正 平成27年5月28日農林水産省告示第1387号)の第2条は、ベーコンを「豚のばら肉(骨付のものを含む。)を整形し、塩漬し、及びくん煙したもの」と定義しています。くん煙、つまり燻製が定義に含まれているのがベーコンで、グアンチャーレとパンチェッタにはこの工程がありません。香りの出方が違うのはそのためです。
日本で買えるパンチェッタには国産もあります。輸入が止まっている国の商品にこだわらなくても、代用という目的なら選択肢は広がります。ただし国産の商品にはスモークをかけたものも混ざるため、商品名に「スモーク」「燻製」が付いていないかを見てから選んでください。
チーズは止まっていない。カルボナーラの相方は買える
ここで誤解されやすいのが、イタリア産の食品が丸ごと入ってこないわけではないという点です。動物検疫所のこのページが対象にしているのは「肉、臓器、ソーセージ、ハム、ベーコン及びその加工品」で、チーズはそこに含まれていません。
カルボナーラでグアンチャーレと組み合わせるペコリーノ・ロマーノは羊乳のチーズで、イタリア産のものが通販に並んでいます。肉だけが手に入らない状態なので、チーズまで代用品に置き換える必要はありません。
材料をそろえるときの考え方
肉は原産国を見る
グアンチャーレもパンチェッタも、いま新しく入ってくるのは輸入条件が生きている国のものです。商品名ではなく原産国の表示を確認してください。
チーズは産地を妥協しなくてよい
ペコリーノ・ロマーノはイタリア産が普通に流通しています。肉の事情とは切り離して選べます。
代用するなら工程で選ぶ
くん煙の有無で仕上がりが変わります。燻製の香りを足したくないなら、ベーコンではなくパンチェッタを選びます。
この4年で何が起きたのかを時系列で見る
最後に、動物検疫所のページに書かれている日付を並べ直します。グアンチャーレが店から消えた時期と、代わりに別の原産国が増えた時期が読み取れます。
豚肉等の輸入停止に関する日付(動物検疫所のページの記載による)
2月18日
ポーランドが停止
アフリカ豚熱の発生により、豚及びイノシシの肉、臓器等の輸入が停止された。2014年にあたる。
9月11日
ドイツが停止
同じくアフリカ豚熱の発生により停止。2020年にあたる。
1月8日
イタリアが停止
グアンチャーレの本場が対象になった。サルジニア島を除く地域の豚・イノシシ・シカ由来の畜産物が止まり、2026年10月27日時点でも続いている。
5月10日
加熱処理された豚肉等の条件が示される
イタリアの項に、加熱処理された豚肉等の家畜衛生条件(5消安第831号)と指定加熱処理施設一覧が並ぶ。生のままの製品とは扱いが分かれる。
11月28日
スペインが停止
代替として増えていたスペイン産も対象になった。令和7年10月29日以前にと殺・加工・梱包まで終えたものは対象外とされている。
4月17日
スウェーデンは解除
この日以降にと殺された豚肉等については、アフリカ豚熱による輸入停止措置が解除されたと記載されている。
よくある質問
| 質問 | 確認できたこと |
|---|---|
| イタリア産はいつ買えるようになりますか | 再開の時期は確認できませんでした。動物検疫所のページには停止の開始日だけが書かれ、解除予定の記載はありません。 |
| スーパーで買えますか | この記事では一般のスーパーの在庫は確認していません。確認したのはカルディ・富澤商店の公式通販と、FIOR DI MASOの公式通販です。 |
| 通販にあるスペイン産は買っても大丈夫ですか | 輸入停止は伝染病の侵入を防ぐ措置で、国内にある商品の安全性を否定するものではありません。ただし令和7年11月28日以降は新しく入ってこないため、在庫限りと考えるのが妥当です。 |
| ベーコンで代用できますか | 部位は同じばら肉ですが、日本農林規格の定義でベーコンにはくん煙が含まれます。燻製の香りが乗る点が違います。 |
| 加熱済みのイタリア産なら入ってきますか | イタリアの項には、加熱処理された豚肉等の家畜衛生条件(令和5年5月10日付け5消安第831号)と指定加熱処理施設一覧が別に掲載されています。生のグアンチャーレとは扱いが分かれます。 |
| ペコリーノ・ロマーノも買えなくなりますか | このページの対象は肉、臓器、ソーセージ、ハム、ベーコン及びその加工品で、チーズは含まれていません。 |
出典
- 動物検疫所「偶蹄類動物の畜産物(ヨーロッパ、ロシア(NIS諸国を含む))」(2026年10月27日確認)
- 農林水産省「ベーコン類の日本農林規格」(最終改正 平成27年5月28日農林水産省告示第1387号)(2026年10月27日確認)
- カルディコーヒーファーム オンラインストア「グアンチャーレ」検索結果(2026年10月27日確認)
- 富澤商店オンラインショップ「グアンチャーレ」検索結果(2026年10月27日確認)
- FIOR DI MASO公式通販「ベルギー産 グアンチャーレ」(2026年10月27日確認)
- FIOR DI MASO公式通販「ベルギー産 パンチェッタ」(2026年10月27日確認)
- 東西産業貿易株式会社「グアンチャーレ(カット)」(2026年10月27日確認)

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