「虫ピン」で店を回っても見つからないのは、探している人が悪いわけではありません。この呼び名が、まったく別の2つの商品を指しているからです。昆虫標本に刺す細長い針と、ホームセンターで釘に分類されている短いピン。どちらを探しているかで行き先が変わります。100円ショップの公式サイトで調べた結果とあわせて、順に整理します。
先に結論:100円ショップの公式に「虫ピン」は出てこない
| 店 | 公式サイトで分かること |
|---|---|
| ダイソー | 「虫ピン」「昆虫針」「標本」で検索しても該当商品なし。出てくるのはアクセサリー用のTピンなど |
| キャンドゥ | 「虫ピン」「標本」はどちらも0件 |
| セリア | 品目を名前から引く画面が無く、外から確かめられない |
| カインズ(ホームセンター) | 「虫ピン 0.7×26」が158円。ただし分類はくぎ |
| 志賀昆虫(専門店) | 昆虫標本用の昆虫針が100本680円から。0号〜6号まで |
つまり100均で「虫ピン」という名前の商品は買えません。ただし用途によっては、110円で代わりになるものが同じ店にあります。そこは後半で具体的に書きます。
「虫ピン」という言葉が2つの別物を指している
カインズのオンラインショップで「虫ピン」を引くと「虫ピン 0.7×26」が158円で出てきます。売り場の分類は工具・建築資材 → ねじ・くぎ・針金・建築金物 → くぎ → 釘。商品の詳細には、適応工具が「金槌、ハンマー」と書かれています。
用途の欄には「書類の仮綴り、手芸、工作などに使用」とあり、昆虫標本は挙がっていません。材質は軟鋼線材(SWRM-6)にニッケルメッキ、入数は100です。これが1つめの「虫ピン」で、金物としての細い釘です。
同じ名前で呼ばれている2つの商品
その1/金物の虫ピン
ホームセンターや文具店で売られている短いピン。太さ0.7mm前後、長さ26mm前後。掲示物の仮止め、書類の仮綴り、工作に使います。カインズでは158円で100本入りでした。ハンマーで打ち込む前提の商品です。
その2/昆虫標本用の昆虫針
チョウやカブトムシの胸部に刺して固定するための針。長さは約40mm、太さは0.35〜0.65mmまで号数で分かれます。材質はステンレスで、頭は針と一体。専門店で100本680円からです。
見分け方
売り場が違います。前者はくぎ・ねじの棚、後者は標本用品の専門店か通販。「虫ピンください」と金物売り場で聞くと、標本には短すぎるものが出てきます。
ダイソーで「虫ピン」を検索すると何が出るか
ダイソーのネットストアで調べても、標本用の針は出てきません。代わりに上位に並ぶのは、アクセサリー作り用の金具です。
| 商品名 | 規格 | 何に使うものか |
|---|---|---|
| Tピン(銀色、71本) | 0.6mm×26mm | アクセサリーのパーツをつなぐ金具 |
| 9ピン(銀色、58本) | 0.6mm×30mm | 同上。片端が輪になっている |
| 9ピン(銀色、30本) | 0.7mm×50mm | 同上の長いもの |
| 昆虫トング(拡大鏡付) | — | 虫をつかむ道具。針ではない |
「昆虫針」で検索すると昆虫ゼリーや飼育用品が、「標本」で検索するとコレクションボックスが並びます。ダイソーは昆虫の飼育用品と収納ケースは扱っているのに、標本を作る針だけが無いという品ぞろえです。キャンドゥのネットショップは「虫ピン」「標本」どちらも0件でした。
セリアについては、商品を名前から照会する画面が公開されていないため判定していません。その事情はセリアの商品一覧が公式サイトにあるかを調べた記事にまとめています。
100均で代わりになるのは「まち針」。ただし検索語に注意
ダイソーには、標本用の針に近い形のものが110円で売られています。手芸用の「まち針」です。
売り場はハンドメイド → 手芸道具 → 針。材質は針がスチール、頭部がABS樹脂、ケースがポリスチレンです。針のサイズは0.4×3.8cmで30本入り。1本あたりにすると約3.7円になります。
ここで1つ落とし穴があります。キャンドゥのネットショップは「まち針」では0件で、「待ち針」と入れると6件出てきます。「セル待ち針 15P」が税込110円でした。ひらがなと漢字のどちらで書くかだけで、取扱いなしに見えてしまいます。店員に尋ねるときも、通じなければもう一方の言い方を試してみてください。
標本にするなら昆虫針。100本680円から
標本用品の専門店である志賀昆虫普及社のオンラインショップには、昆虫針が号数ごとに並んでいます。価格は100本入りで680円から820円です。
| 号数 | 太さ | 価格 |
|---|---|---|
| 0号 | 0.35mm | 820円 |
| 1号 | 0.40mm | 790円 |
| 2号 | 0.45mm | 740円 |
| 3号 | 0.50mm | 680円 |
| 4号 | 0.55mm | 680円 |
| 5号 | 0.60mm | 680円 |
| 6号 | 0.65mm | 680円 |
長さはどの号数も約40mmで共通です。数字が小さいほど細く、細いものほど値段が上がります。迷ったときの目安は商品ページに書かれていて、3号のページには「3号は一般的によく使われる商品です」という注記があります。
商品説明には「材質はステンレス最上質を使用しているので、永久に腐蝕の心配がございません」「頭は共頭のため、絶対に取れません」と書かれています。共頭とは、頭の部分も針と同じ素材で一体になっているという意味です。同じカテゴリーには、小さな虫を押さえる無頭の「シガ微針」(100本3,550円)や、展翅テープを押さえる「展翅用玉針」(50本320円)も並んでいます。
まち針と昆虫針、1本4円の差が何を買っているのか
ダイソーのまち針と、太さが同じ1号の昆虫針を並べてみます。寸法はほとんど変わりません。
| 項目 | ダイソー まち針 | 有頭シガ昆虫針 1号 |
|---|---|---|
| 太さ | 0.4mm | 0.4mm |
| 長さ | 約38mm | 約40mm |
| 針の材質 | スチール | ステンレス最上質 |
| 頭 | ABS樹脂(別素材) | 共頭(針と一体) |
| 入数と価格 | 30本・税込110円 | 100本・税込790円 |
| 1本あたり | 約3.7円 | 約7.9円 |
違いは材質と頭の作りに集約されます。1本あたりの差は約4円です。標本は何年も残すことが前提なので、針が錆びると刺した虫そのものが傷みます。公式が「永久に腐蝕の心配がございません」と書いているのは、そこにお金がかかっているという意味です。
どちらを選ぶかの目安
夏休みの自由研究で、提出まで数週間 ダイソーのまち針110円で形にはなります。短期間なら錆びる前に提出が終わります。
作った標本を何年も残したい 昆虫針を選んでください。100本680円は、1本あたり7円弱です。数年後に錆びて崩れるほうが損になります。
掲示物やコルクボードに留めたいだけ カインズの金物の虫ピン158円で足ります。100本入りなので、学級掲示や展示用にはこちらが向きます。
針先の扱いには注意する
ダイソーのまち針の注意書きには「針先は鋭く大変危険です。取扱いには注意してください」「乳幼児の手の届かない場所で使用・保管してください」とあります。昆虫針はまち針よりさらに細く長く、頭が小さいので落とすと見つかりません。作業は箱やトレーの上で行い、使い終わったら本数を数えて戻してください。
子どもと一緒に標本を作るときは、刺す作業を大人が受け持つほうが安全です。標本は急いで作るものではありません。
標本箱は100円ショップで探せる
針は専門店でしか手に入りませんが、収める箱のほうは100円ショップで候補が見つかります。ダイソーの「収納 → ケース・小物入れ → コレクションボックス」には、壁にも付けられるコレクションボックス(30cm×30cm×9cm、税込550円)や20cm角のもの、透明コレクションケース(組み立てタイプ)が並んでいます。
そろえる順番
1 針の号数を決める 迷ったら3号。公式が一般的によく使われると書いている太さです。
2 針を通販で買う 100本680円から。専門店のオンラインショップで号数を指定します。
3 箱は100円ショップで見る 深さのあるコレクションボックスなら、針を立てたまま収められます。
4 展翅が必要なら専用の板を足す チョウの翅を広げて固定するには展翅板と展翅用玉針(50本320円)が要ります。甲虫だけなら不要です。
まとめ
「虫ピン」は、金物としての細い釘と、昆虫標本用の昆虫針という別々の商品に使われる呼び名です。ダイソーとキャンドゥの公式サイトには、どちらの意味でも該当する商品がありませんでした。金物のほうはカインズで158円、標本用は志賀昆虫のオンラインショップで100本680円からです。
100円ショップで代わりを探すなら、ハンドメイド売り場のまち針が近いものになります。太さ0.4mm・長さ約38mmで30本110円。短期間の工作や自由研究なら十分ですが、長く残す標本にはステンレスの昆虫針を選んでください。細いピン類では割りピンの販売店をまとめた記事も同じ売り場の話です。昆虫まわりではおにやんま君の取扱いもあわせてどうぞ。
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